原子力問題を学ぶフィールドワーク(福井県)のご報告

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4月15日(月)から16日(火)まで1泊2日の日程で、「原子力問題を学ぶフィールドワーク」として福井県に行ってきました。参加者は5名と少人数ではありましたが、その分内容の濃いフィールドワークであったと思います。

初日は、長年にわたって原発問題に取り組んでこられた中嶌晢演氏が住職をつとめる福井県小浜市の明通寺を訪れました。

明通寺は、大同元年(806年)に坂上田村麻呂によって創建されたと伝えられる若狭地方きっての古刹で、境内にはたくさんの国宝や重要文化財が存在します。到着後、まずは国宝である本堂にお参りし、明通寺の由来などを聞かせていただきました。また重要文化財でもある御本尊・薬師如来像や、国宝の三重塔などもゆっくりと拝観しました。

明通寺本堂

明通寺三重塔

30分ほど境内を散策した後、客殿に移動して中嶌晢演氏からお話をうかがいました。参加者が少人数であったため、座談会のような形式で質問にも丁寧にお答えくださり、3時間近くにわたって様々なお話をいただきました。

お話の中にあった「受益圏」と「受苦圏」という考え方が特に印象に残っています。原発問題に関しては、電力の供給を受ける大都市圏という「受益圏」と、原発事故や放射線被ばくのリスクを引き受ける地域「受苦圏」の分離が進み、そのことが原発からの電力に依存してきた大都市圏の「無関心」を引き起こしているという指摘でした。

福島第一原発の事故から8年が経過し、事故当時は多くの人が持っていた原発問題に対する関心が、私自身も含めて徐々に薄くなってきているように感じています。「受益圏」に住む私たちが、「受苦圏」に住む方々のリスクや不安について、自分自身の問題として受け止めていかなければ、「分断」や「無関心」は更に加速していくのではないでしょうか。

中嶌晢演氏のお話

 

二日目は、まず「原子力行政を問い直す宗教者の会」の事務局を担当されている岡山巧氏が住職をつとめる福井県敦賀市の真宗大谷派西誓寺を訪ねました。

岡山氏は「歴史観を開く」と題して、私たちが原発問題に何を学ぶべきかを問いかけられました。「私たちが原発問題に学ぶことは、本願の<いわれ><こころ>であり、また本願への目覚めを呼びかけられている<この身>であることをはっきりさせることである。また、原発問題に詳しくなることや原発に反対することが目的ではないが、結果としてそういう内容を伴った仏道の歩みとして展開してくる」とお話しくださいました。

岡山巧氏のお話

その後、岡山氏にもバスに同乗いただき、複数の原発が立地する敦賀半島をバスで巡りながら、さらに詳しくお話を聞かせていただきました。直径10キロほどの範囲に敦賀原発、もんじゅ、美浜原発という3つの原発関連施設が集中している状況や、その周辺の集落の様子などを実際に見て、改めて原発が持っている問題性について考えさせられました。

美浜原発

岡山氏はバスを降りられる際に、「立地地元」(原発が実際に立地する地域)と「消費地元」(原発の電気を消費する地域)という中嶌晢演氏の言葉を用いて、「立地地元に住む私たちは、立地地元だからできることは何かを考えながら、できる限りの行動を起こしています。消費地元に住む皆さんは、消費地元だからできることは何かを考えながら、行動を起こしてください」と呼びかけられました。

「消費地元」そして「受益圏」に住む私たちは、どのように原発問題に向き合い、また行動していけば良いのか。色々なことを問いかけられた2日間のフィールドワークでした。

「原発に依存しない社会の実現を目指す委員会」では、公開講座、映画上映、フィールドワークなど、原発問題について共に考える活動を行なっています。次回の予定は、5月23日(木)映画『フタバから遠く離れて』上映会です。皆様のご参加をお待ちしております。

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