浄土宗の人は 愚者になりて 往生す ~『末燈鈔』~ 

 原発事故で「想定外」という言葉が使われた。「想定」とは仮に結論らしきものを設定することだ。ところが「仮」であったはずのものが、いつの間にか「真」に化けてしまうことが往々にしてある。これを「偽」という。
 人間の傲慢さとは、「何に対しても答えを出して安住してしまうことだ」という指摘がある。どこかで分かったことにして、それ以上「問い」に耳を傾けない。「それでよいのか」という問いかけに耳を塞ぎ、自己中心の智恵才覚を物差しにして、自然の理(ことわり)から目を背けてきた結末だ。
 「愚者」とは事実(如実)に頭が下がる人をいう。事実に頭が下がった時、人は問われる事柄に気付き、励まされ、人間回復の一道を歩み始める。

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Last modified : 2014/12/13 11:10 by 第12組・澤田見(ホームページ部)