~人心の 至奥より出づる 至盛の要求の為に 宗教あるなり ~清沢満之~

「夕焼けこやけで日が暮れて/山のお寺の鐘が鳴る/お手々つないでみな帰ろ/カラスと一緒に帰りましょう。」有名な童謡の一節である。なぜかこの歌を口ずさむと癒される気持ちになる。人の心の中に胎内(母体)回帰願望があるとも言われ、この歌は音楽療法に使われることもあるという。
 よくよく考えて見ると、人は、日々の夕暮れ、一年の秋、また、人生も半ばを過ぎ、無常を感じた時、安らぎを求め、故郷への回帰を願うものであろう。その理性、分別を超えた人心の奥底の回帰願望に促されたとき、人は我が身の根源的欲求に目覚め、そして帰らねばならない世界を求めるものである。
 仏教はその世界を西方の彼岸の浄土と示し、偏に願生浄土の方向を教えているのである。

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Last modified : 2014/12/13 16:31 by 第12組・澤田見(ホームページ部)