ふくは うちにあり おにもうちにあり

~ 福は 内にあり 鬼も内にあり~

 鬼は外、福は内と豆をまく光景は節分の風物詩でもある。素朴に幸福を願い不幸を厭う気持ちは誰にでもあるし、否定はできない。しかし、鬼とは一体何だろうか。押しなべて、自分に不都合な事柄を鬼と呼び、好都合を福というようだ。だとすると、どこかに鬼がいるのではなく、不都合を鬼と感じ鬼を作り出す心があるようだ。そして、その心こそ鬼かもしれない。
 今、よくよく考えてみると、ただ今ここに、この身一人が存在する背景には、自分の思いや時間を超えた正と負の歴史がある。どれだけの恩恵、どれだけの犠牲があったかは計り知れない。我が思い計らいを正当化し、限りなく福を外に求め、鬼を外に見出す限り、安住の地はない。この我が身一人に凝縮した宿縁と、宿業の自覚こそ、鬼から解放される道である。

コメント 0件

情報をクッキーに保存する

Pocket

Last modified : 2014/12/11 6:52 by 第12組・澤田見(ホームページ部)