~ 人生の方向を 見失うと 人間は迷う ~ 

 罪を犯して受刑生活を送り、仮釈放される人と面談する機会がある。ある時、「何故あんなことをしたのだろうと情けなくなります」と告白される方に出会った。まさに「後悔先に立たず」である。しかし、親鸞聖人は「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」と教えている。人間というものは、条件(縁)次第で何を思い、何を言い、何を行うかは分からない、縁によって左右されてしまう弱い存在なのだという自覚の言葉である。それは決して居直りの言葉ではない。自己存在への痛みと悲しみである。
 今月は秋のお彼岸の月。彼岸とは西方浄土とも教えられているが、人間が本来、帰らねばならない世界、そして方向とも教えられている。自己存在への痛みに立って、日々、人生の方向を確かめたいものだ。

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Last modified : 2014/12/12 11:22 by 第12組・澤田見(ホームページ部)