~ 恩は返せるものでない ただ謝するのみである ~ 

「孝行のしたい時分に親はなし」という川柳をよく耳にする。親の恩に対して、何も返すことができなかったという悔恨の念からくる言葉であろう。
ここ最近、父親とよく口論になり、思わず偉そうな口調で親の言動を批判することがある。先日、口論の後、肩を落としつつ背を向けた父親の後ろ姿を見た時、少し背中が曲がり、やけに小さくなっているのに気づいた。改めて父親の年老いたことに驚き、何ともやる瀬ない思いが込み上げてきた。
真宗門徒の生活は、「報恩謝徳」。「恩を返す」のでなく「謝する」と言われる。孝行どころか、親と顔を合わせたら批判ばかりしている私に「せめて親の背中に頭の下がる人であって下さい」と如来からのご催促をもらっているようで、少し救われる。

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Last modified : 2014/12/12 11:23 by 第12組・澤田見(ホームページ部)