~ ときに しくじりながら 一日 いちにちの 味 ふかくなる ─榎本栄一─ ~

 「結果が全て」とは、勝負事などでよく聞く言葉である。何事も勝者が賞賛されればされるほど、敗者の存在は希薄になり、そのまま優・劣や幸・不幸とそれぞれの印象を色濃くしていく。
 「負け=劣る」という価値観は、周りにも自分にも、完璧であることを要求し、失敗は劣る事と重圧をかける。そんな環境では「失敗は成功の母」という言葉も空しく響くだけかも知れない。
 失敗が大きいほど後悔や孤独を強く感じ、苦しみや悩みも深くなる。しかしそこに、悩めば悩むほど、単なる反省ではなく、自分自身を問うということが始まる。当の本人には気づけないが、失敗して味わう苦悩や問いがその人を味わい深い人間へと育てている。

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Last modified : 2014/12/12 22:51 by 第12組・澤田見(ホームページ部)