浄土三部経とはどんなお経ですか

お釈迦さまの教えを伝える膨大な経典の中から、真宗では、正依(しょうえ)の経典(人が、まさに依るべき経典)として、浄土の教えを説く三部の経典、『仏説無量寿経』(大経)、『仏説観無量寿経』(観経)、『仏説阿弥陀経』(小経)を掲げ、選び取っています。どのお経も、苦しみの多い人生を生きる者(衆生)が、念仏の教えに出遇うことによって、本当の安らぎの世界(如来の浄土)に生まれることを説く教えです。

『仏説無量寿経』には、法蔵菩薩(ほうぞうぼさつ)が四十八願を成就して阿弥陀如来になられたことが説かれています。『仏説観無量寿経』には、韋提希夫人(いだいけぶにん)が阿弥陀如来に救われていく話によって、一切衆生が浄土へ往生することを説いています。『仏説阿弥陀経』には、浄土の素晴らしさが説かれています。

この三部経が選び取られた背景には、七高僧の厳しい求道と思索の歴史がありました。釈尊出世の本懐(ほんがい)(お釈迦さまは一体何を説かれるためにこの世に生まれられたのか)について尋ね続けられた歩みは、『正信偈』でも知ることができます。特に大きな影響を及ぼしたのが、親鸞聖人の師法然上人です。三部経を生涯大切にされ、『選択本願念仏集』にその旨を銘記されました。

親鸞聖人は、中でも特に、『仏説無量寿経』こそが真実の教えであるとされ、「大無量寿経」という特別な呼び方を『教行信証』で示し、明確に選び取られました。このお経は、凡小(人生のさまざまな出来事の前に力なく巻き込まれ生きる者)が、そして群萌(ぐんもう)(名も無く煩悩の世間の泥にまみれて生きる者)が、念仏に出遇い救われることを説いています。大悲(だいひ)のはたらきによって、苦悩の多いこの世の只中で救われていくのです。私たち真宗門徒は、聖人の導きにより、この世を生き抜く時の何よりも確かな指標・道しるべとして『仏説無量寿経』を戴き、「大経」と呼び習わしているのです。

教区出版会議発行『真宗入門Q&A』より

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Last modified : 2015/02/13 23:20 by 第12組・澤田見(ホームページ部)