奈宗連フィールドワークに参加 ~フィールドワークの意味とは

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9月4日、奈宗連(差別をなくす奈良県宗教者連帯会議)主催のフィールドワークに参加してきました。全体で30名、真宗大谷派からは社会・人権部の「部落差別問題に学ぶ実行委員会」の2名と大和ブロックの寺院関係者5名が参加しました。

今年の奈宗連のフィールドワークは「岩井川の流れに沿って古市のまち散策」というテーマで奈良市の古市近辺を訪ねるものでした。

はじめに奈良市東人権センターにおいて古市歴史研究会の大寺和男先生から講義を賜り、約1時間の講義の後、市営屠場後、道場元家の墓、油掛け地蔵、蛭子神社などを巡りました。

大寺先生は常々、フィールドワークを行うに当たってその意味についてお話ししたかったそうです。
フィールドワークの意味・・・確かにフィールドワークはいい勉強になるなぁと漠然と参加させていただいてきたものの、その意味づけまでは考えたことがありませんでした。
大変勉強になりましたので、資料の一部をご紹介いたします。

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◆人権教育・学習への「思考停止」を克服するために

「人権問題・同和問題って難しいよね。」という言葉を研修会後の雑談のなかでよく耳にします。この“難しさ”の中味として、「人権問題・同和問題とは、どのようなことなのかの理解の難しさ」なのか「差別の具体的な解決が難しい」のか、多くの場合はっきりとしていません。いずれにしても、「人権」「同和」という言葉がつくと“難しい”という「思い込み」が前提としてあるのであれば、私たちの思考は、その時点で停止してしまい、この「思考停止」はやがて「無関心」を生み出してしまいます。

(1)これまでの人権教育・学習の持つ弱点
①人権学習の場に来られる人たちは、「差別は社会悪であり、許されないことだ」という認識をすでにもっています。いわば、結論を知っていることになります。このことが「同じことの繰り返し」「またか」といった意識を生み出しているのではないかと思います。
②人権という極めて抽象的な概念を理解しなければなりません。その上、専門的な用語や理屈先行の学習内容になりやすく、参加者の積極的なかかわりが削がれているように思います。
③人権問題(差別)を題材としますから、必然的に内容も厳しいものとなります。こうしたことも一因となり、参加者の学習へのかまえが「硬い」ように思います。

(2)弱点を克服するために~人権学習の視点を変える~
人権教育・学習の弱点を克服するために、近年、参加体験型学習(ワークショップ)やグループワークを学習に導入し、結論を重視するのではなく、結論に至る過程を大切にする。あるいは、人権という抽象的な概念を生活に則した具体的な課題として引き出し話し合う(地区別懇談会等)といった手法が盛んになってきています。こうした手法のひとつに、フィールドワークの活用があります。

(3)フィールドワークの価値とは
①地域をフィールドに、地域にある題材を活用する。⇒ 人権を暮らしの中に位置づけることができる。
②「学び」の楽しさを体感する。⇒ 歩く(体を動かす)ということと双方向の意見交換ができる。
③「学び」を通しての付加価値を見つける。⇒ 人との出会いとコミュニケーション。

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先生のお話で、フィールドワークという活動の位置づけをハッキリすることができました。
私たち実行委員会が企画する際も、上記のことを念頭に置きながら事に当たっていきたいと思います。