梅
「イメージ調査」から

 昨年の3月、朝日新聞の「天声人語」に載っていたのですが、福井県商工会議所で勤め人348人を対象に、日常会話によく出る言葉の「イメージ調査」をしました。それによりますと、たとえば「あの人はいい年をして」という時の「いい年」は、15歳から70歳までに分かれました。平均は34.4歳です。「老後」とは何歳からを指すか、平均は64.7歳でした。最高は80歳から、最低は50歳からです。

 「長電話と聞くと何分か」という問いに2分と答えた人がいました。10時間という人もいます。平均すると、50分だそうです。「はした金」は300万円と言った人、最少額は1円、約九割が1万円までの金額をあげました。「高級料理」はいくらか。最低が1千円、最高が15万円、平均すると2万2千97円だそうです。同じ程度の苦労でも、苦しくて死にそうだと訴えてまわる人もいれば、あまり楽とは言えませんなとつぶやく人もいます。

 おおげさと控えめ。人柄の違いもからみ、言葉は、発する人、受ける人次第だと言えるというのです。まさに自分の考えに立つと、意見は百人百様です。

 そう言えば、同じ水を見ても、これを見る者が異なるとそれぞれ見方、受けとめ方が違うものです。天人は瑠璃(るり)と見、人間は水と見、餓鬼(がき)は膿血(うみち)と見、魚は住家(すみか)と見ます。これを「一水四見」といいます。

 霊枢車を見ても、「縁起でもない」と思う人もあり、「味気ないなあ…」とわびしく思う人。野球投手や相撲取り、商売人などの中には「今日はついているぞ」と喜ぶ者もいる。「ああ、どんな人が亡くなったのか知らないが、お気の毒な事や。しかし、これは他人事(たにんごと)やない、私の姿や。いずれ遅かれ早かれこの私も……」と無常をひしひしと身に受けとめて聞法に励まれる方もあるでしょう。

 「一句一言を聴聞するとも、ただ、得手に法をきくなり。ただ、よく聞き、心中のとおり、同行にあい談合すべきことなり」と『蓮如上人御一代記聞書』に教えられていますが、蓮如上人は、「私たちは、教えの一句、一言を聞く時も、必ず自分の都合のよいように聞いているものです。だからただ、勝手な解釈をしないで、耳を澄ませて聞き、自分の受け止め方が正しいか間違っているかを、仲間たちと話し合って確かめるのがよろしい」と教えられているのです。

(平成8・2・9)

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Last modified : 2014/12/10 3:22 by 第12組・澤田見(ホームページ部)