5 13万1072人

 ある人に教えられてビックリしたことがございます。私は、私の寺の十八代目の住職をしばらく務めさせてもらいましたが、ある方が、「人間十八代で親が何人いると思うか」と聞かれまして、そんなこと考えたことがございませんでしたから、「さあ」と言っておりました。そうしましたら人間、十八代目ということは、十七代にわたる方々が上におられるわけです。その数はなんと13万1072人という数になるんですね。

 両親にそれぞれのご両親がいらっしゃる。そのおじいさんおばあさんそれぞれ両方の父方、母方、その両方のおじいさんおばあさんに、またおじいさんおばあさんがいらっしゃる。ずっと十七代上を訪ねていきますと、13万1072人という方がおられる。そのいのちの歴史が今この私にいのちを与えてくださっている。その歴史がなかったら、今のこの私はここにはいないかもしれない。

 しかもまたその人々は、そんなに早くっても、親になるまで生きておられたわけですから、どんなに早く亡くなった方であろうと、20年は生きておられたのじゃないかと思いますが、20年生きる間にどれだけの人とのつながりを与えておられたかですね。縦に十七代、その数13万1072人。同時に横にその13万1072人という人が、親になるまでこの世を生きていく上で、限りないつながりに恵まれ、生活を営んでおられた。それがあればこそ、その歴史は今日私にまでつながってきている。

 そうして見ますと、つながりというつながりというものを決して、この私が頭であの人となら手を結べるかなあとか、あの人とは趣味が合うから結ばれようかと、そういう外に求めていくつながりではない。この身に受けているいのちに賜っておるつながり。そのつながりのほかに、私のいのちの事実はない。私がつながりを持っているのではなくて、つながりの中に私を賜るのでございます。そういうことを改めて教えられました。

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Last modified : 2014/01/27 22:50 by 第12組・澤田見