問い

人が亡くなった時の、枕飾りや祭壇(さいだん)は、どのようにしたらいいですか? その時、お仏壇はどうするのですか?

答え

 人が亡くなった時、まずお寺の住職に相談してお通夜及び葬儀の段取りされるのがよろしいが、一応の心得を申します。

 浄土真宗では礼拝、帰依(きえ)の対象の本尊は、あくまでも阿弥陀如来であって、遺体は本尊として扱いません。しかし大切な人の遺体ですから丁重に扱い、その人の最後を荘厳(しょうごん)するのにふさわしい扱いをすべきです。故人に対する敬いの心が通夜・葬儀の荘厳となって表現されるわけです。

 しかしながら、本尊として仰ぐのは阿弥陀如来ですから、御仏壇、御名号(おみょうごう)を中心として枕経(まくらきょう)もお通夜もお葬式もとり行います。

 そこでまず臨終勤行(枕経)を行うについての「枕飾り」ですが、枕もとに白布で覆った白木の机か台を置き、その上に三具足(みつぐそく(花立て、香炉(こうろ)、燭台(しょくだい))を配置します。花立てには樒(しきみ)の枝を一本立てます。そしてお仏壇は開けて、きれいに掃除をし、白い打敷(うちしき)をかけます。(白い打敷(うちしき)の無い時は、金襴のを裏返しにしてもよい) 三具足で結構ですが、お花立てには樒(しきみ)か青木を立て、色花は用いないようにします。頭がお仏壇の方に向くよう遺体を安置します。尚、枕飾りには、長い線香を立てたり、お茶碗にご飯を大盛りにして箸を立てたり、お膳や枕ダンゴ等を供えたりはいたしません。

 葬儀の祭壇(荘厳)も、遺体のお棺(かん)を中心にした配置のようですが、正面の中心は必ず御本尊の「南無阿弥陀仏」のお名号を掛けます。御本尊は必ず正面から見えるようにし、その前をふさぐようなものは置かないことです。また、浄土真宗では、いわゆる「旅装束(たびしょうぞく)」はしません。他宗では「死出の旅に出る」として、六文銭(ろくもんせん)の入った頭陀袋(づだぶくろ)を首に掛け、手甲脚絆(てっこうきゃはん)にわらじや杖まで添えたりするようですが、これも不要です。浄土真宗の教えは、臨終と同時に浄土に往生せしめられることを説くのであって、死後の冥土(めいど)の旅に出る必要がありません。

 葬儀は何と申しましても、故人との最後のお別れの大切な儀式です。心からの敬意をもって行うべきものです。しかし、見栄や外聞を気にして必要以上に飾り立てるのは、かえって故人を悲しませ、教えの本意に背く事になります。今は亡き人を偲びつつ、故人の本当の願いに心の耳を傾け、会葬者ともどもに真宗に出遭う機縁としたいものです。

(本多惠/教化センター通信 No12)

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Last modified : 2017/03/01 20:24 by 第0組・澤田見(ホームページ部)