問い

葬儀式が終わった後の、しなければならないことと、遺骨の扱い方やお仏壇のおかざりの仕方を教えて下さい。

答え

 親しき人の死を無駄にしない厳かな葬儀式が終わって、身近な会葬者にお礼の気持ちを表すのは自然の情でありましょう。斎場(さいじょう)(火葬場)から帰った後、簡素なうちにも心のこもった食事をする習慣もあります。これは斎場へ遺骨を拾いに行く前後か、還骨勤行(かんこつごんぎょう)〔お骨(こつ)あげの勤行〕が全て終了してからか、いづれにしても長時間引きとめるのは迷惑なので、早めに切りあげるべきでしょう。また、特にお世話になった方々へは、改めてお礼にうかがうようにしたいものです。

 また、遺骨が帰ってくるまでに用意しておかなくてはならない事があります。それは四十九日間、いわゆる中陰(ちゅういん)に向けてのおかざりです。

 まず、お内仏(仏壇)の近くの適当な場所に中陰壇(ちゅういんだん)をしつらえます。これは、床の間か、お内仏の前か横に、白布をかけた二、三段の檀か、あるいは小机を置き、その上に遺骨、法名、遺影(いえい)を安置し、三具足(みつぐそく)〔花瓶(かひん)・香炉(こうろ)・燭台(しょくだい)〕を並べます。お花は樒(しきみ)か青木(あおき)を用い、ローソクは白色を用います。そしてお仏供(ぶく)、その他のお供物は白い小餅(こもち)を積むのが本来ですが、気持ちがこもっておればあえてこだわることはないでしょう。

 お内仏も中陰壇のおかざりと同様です。言うまでもなく、遺骨・法名・写真はお内仏のなかには置きません。打敷(うちしき)は地味な色のものを用い、花も赤色とか派手な色はさけるべきでしょう。

 お骨が帰って来ますと中陰壇中央に安置し、お内仏と中陰壇ともにお灯明(とうみょう)をつけ、白いローソクに火をともし、線香または炭火(すみび)を香炉に入れ焼香(しょうこう)をし還骨勤行の準備をします。

 用意が整えば住職さんに勤行をしてもらいます。これを還骨勤行と言いますが、その勤行中に参詣の方々に順に焼香をしてもらいます。勤行終了後、「白骨の御文(はっこつのおふみ)」を拝読することになっています。蓮如(れんにょ)上人が身をもって生死無常(しょうじむじょう)の理(ことわり)に目覚るように懇切丁寧にお述べくださったお手紙ですので、謹んで静かに拝聴しましょう。

 親しい人が亡くなって以来、葬儀の準備から葬儀式へと、次々と慌しく追われ、気持ちも動転して、ゆっくりと故人の死を忍ぶ余裕もなかったことと思います。この還骨勤行に至ってはじめてほっと一息つき、故人の死を実感する時であります。「御文(おふみ)」の言葉に遇わせて頂き、しみじみと我が身の無常に頷(うなず)き、いよいよと仏法聴聞(ちょうもん)の大切さを心に掛けるべき機縁かと思います。

(本多惠/教化センター通信 No.15)

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Last modified : 2014/12/09 6:16 by 第12組・澤田見(ホームページ部)