問い

「真宗本廟」とは、何ですか。また「本廟奉仕」とは、どういうことをするのですか。

答え

 私たち真宗門徒のご本山である東本願寺を、「真宗本廟」と呼んでいます。廟とは、もとは墓という意味ですが、真宗本廟と言うときには単なる墓という意味ではなく、精神的お敬いの場、根本道場という意味を持っています。境内の正面には、世界最大の木造建築である御影堂があり、宗祖親鸞聖人のご真影(お木像)が安置されてあり、聖人が今現在私たちに生きてご説法くださっているのです。私たちがこの御堂に参拝し、御影(ごえい)の前にぬかずくとき、聖人の直々のご説法を聞かせていただくことができる道場という意味で真宗本廟と言います。

 七百三十余年前に親鸞聖人が亡くなられたとき、東山大谷の地に聖人のお骨を納め、お墓を立てて、遺された門徒集が今は亡き聖人を偲び、聖人の声なき声、つまり教えを聞く中心道場としてその廟堂に集まったのが、東本願寺の始まりであります。

 それが後世二つに別れて、聖人のお骨が納めてある大谷の墓所を大谷祖廟とし、聖人の御影を安置してその精神を崇敬(そうきょう)し、教えを聞く根本道場として現在の烏丸七条の地に真宗本廟(東本願寺)が建立されたのです。

 真宗本廟には全国から泊まりがけで多くの人々が本廟奉仕に上山されます。奉仕とは、敬いおつかえするという意味で、清掃奉仕をしつつ聖人の教えを聞き、研修することが中心であります。同朋会館に宿泊(二泊三日程)して、聞法、勤行、清掃奉仕、諸殿拝観等に楽しく有意義に過ごします。そこには全国から集まってこられた多くの念仏者同士が互いに出遇い、新しい友人関係(同朋の輪)が芽ばえてまいります。

 現在の真宗本廟の建物は、明治二十八年(1985年)頃に再建された世界最大の木造建築ですが、親鸞聖人の教えによって人間に「生まれた意義と生きる喜び」を見いだした無数の人々が、そのご恩に報いるために門徒女性の黒髪を切って毛綱をあみ、巨大な木材の運搬の用に立てるなど、両堂再建工事のために命がけの奉仕をされたご苦労によって再建されたものです。上山をすると、柱、瓦、畳の一つひとつにその仏法相続の深い願いが伝わってまいります。年に一度は本廟奉仕にまいって聖人のご精神に全身の耳を傾けると共に、祖先の深い願いに直々に触れたいものです。

(本多惠/教化センター通信 No.97)

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Last modified : 2015/03/02 18:11 by 第0組・澤田見(ホームページ部)