問い

 20年前に子どもを病気で亡くしました。それ以来、毎月の命日にはお寺さんにお参りをしてもらっています。息子夫婦と同居しているのですが、息子の商売が不況で仕事が減りこのままでは心配です。占い師から「子どもの供養はもうしない方がいい」と言われました。お寺さんは「ご命日のお参りは仏法に遇うご縁ですよ」と言われるのですが、どうすればいいのでしょうか。

(48歳・女性)

答え

 失礼な言い方かもしれませんが、あなたは間違った教えにふりまわされて戸惑っておられるようです。先立たれた子どもさんの命日勤行と息子さんの仕事が思わしくないことを関係があるかに思っておられるようですが、この両者は全く因果関係はありません。

 だいたい占いについては、昔から「当たるも八卦、当たらぬも八卦」と言って、実のところ信用されていないものです。しかし、悲しいことには人間の性として、自分の考えが行き詰まると、占い師か何かにすがりたくなるものです。それが証拠には、現代文化の中心とも言われる大都会の町角で、人相見や手相見の姿をよくみかけることです。占いは迷っている人を、ますます迷いの中に引き込んでゆくものです。

 迷信・邪教といわれる教えは、人を迷わせ、人を眠らす方向に導いてゆくものです。正しい教えは事実を事実として教え、人を眠らすことなく目覚ましむるものです。それを真実教(しんじつきょう)といいます。

 仏教はまさしく真実教です。親鸞聖人は「大無量寿経 真実之教 浄土真宗」と明示しておられます。ただ注意しなくてはならないことは、仏教の名のもとに仏教本来の意趣をゆがめ、さらには邪教に等しい内容をもった教えもあります。それには自分がほんとうに心から信頼できる仏教徒の教えを聞くことが大切です。今お参りされているお寺さんが、「ご命日のお参りは仏法に遇うご縁です」と言われることは間違いありません。占い師の言葉にあるような「亡くした子どもの供養」でないことは確かです。

 息子さんのために力になりたいと思われるあなたのお気持ちはよくわかります。しかし、あなたにとっても息子さんにとっても大切なことは、一時の気休めを求めることよりも、困難なことに出会った時に決して現実から逃避せず、正面から立ち向かっていける勇気をもつことではないでしょうか。月に一度のご命日には心静かに仏前に手を合わせ、さらに浄土真宗のお寺に法話(仏教の話)を聞きに行かれることをお勧めいたします。

(本多惠/教化センター通信 No.146)

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Last modified : 2014/12/09 6:16 by 第12組・澤田見(ホームページ部)