問い

 私は息子夫婦と孫と四人で暮らしております。私どもの年頃の人はみな同じだと思いますが、姑には大変気をつかい、いやな事でも従わざるを得ませんでした。ですから息子の嫁にはそんないやな思いはさせないように思っておりましたから、息子の嫁にはむしろ気をつかって接しております。ところが、私が家事や孫のことで嫁にほんの少し意見を言うと、「時代がちがう」とか、「自分には自分のやり方があるから口を出してくれるな」といいます。それでも、なるべく喧嘩をしないように努めているのですが、私ばかり我慢しているようで、嫁と一緒にいるといつも気持ちがもやもやしてしまいます。どうすればよいのでしょうか。

(大阪市・主婦・59歳)

答え

 お話を聞いていますと、あなたは出しゃばりすぎるようです。お孫さんや家事のことで、自分のときはこうだったと口出ししたくてたまらない。今の若い世代の人は、親であっても干渉されることを、一番嫌うのです。お嫁さんはお嫁さんなりに一生懸命に頑張っているのです。その頑張り方はあなたの通ってこられた世代とは違いますけれど。そこで間違っていた、失敗だったということに気づいて、はじめて自我が折れていくのです。

 中国では若い世代のものが、人生の先輩である老人から、何故その生き方、その智慧を学ばないのかという姿勢をとって、ちょっとしたことでも老人から聞いていく態度をとっています。自我いっぱいにこり固まったいまの日本では、到底考えられません。黙っておればよいのです。間違ったことしているなと思っても、黙って見守っておればよいのです。しかし先方から聞いてきたなら、私ならこうすると自信をもって答えたらよいのです。

 案外若い人の方が賢明で、あなたの言われることの方が余りにも無知そのものを丸出しにしていたから、反発していたのかも知れませんよ。あなたもやはりお嫁さん以上に自我が強いのです。つまり自分の我を通そうと思っている。そしてその思いが通らないと、なんときつい嫁か、くよくよしているのです。

 すべてがすべて黙って耐えていよ、というのではありません。深く生きていこうとする精神生活に関して、若い人たちが迷っている時などは、堂々と発言しなければなりません。それは仏法よりたまわった智慧からの発言であれば、その時は反発されでも、必ず説得力をもって相手を納得させてゆきます。そのためにはあなた自身が、今までとは違った心構えで、聞法一途になるということがなければなりません。お嫁さんのことでくよくよしているより、聞法によって広く明るい世界で生きて下さい。

(松井慧光・「南御堂」もしもし相談室より)

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Last modified : 2014/12/09 6:17 by 第12組・澤田見(ホームページ部)