むなしけれ ひゃくにんせんにんたたえても わがよしとおもう ひのあらざれば

~「むなしけれ 百人千人讃えても 我がよしとおもう 日のあらざれば」~九条武子~

 どれほど周囲からほめ讃えられようとも、我が身が我が身の事実に頷き、納得できないのなら、それは空しい人生と言わざるを得ない。しかし、どれほど我が計らいをめぐらし、外に感動を求めても、ひと時の幻影でしかない。傲慢でも卑屈でもなく、「私は私でよかったね」と、自分が自分に手を合わすことのできる人生。それは私の分別の思いを超えて、私となって生きている大いなるはたらきに目覚めて開かれる人生である。そこに自ずと、何事にも頭が下がりつつも、力強い人生を賜るのである。
 西本願寺の大谷光尊師の二女で、歌人で社会事業家であった九条武子さんのこの歌は、外にひたすら感動の涙を求め続けている現代に生きる私たちに、大きな問いかけをしているようである。

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Last modified : 2014/12/12 9:52 by 第12組・澤田見(ホームページ部)