「猫に小判というが あわれ人間は その小判に目がくらむ」~榎本栄一~

 一人の一級建築士の耐震強度計算書が偽造であったことが発覚して、数百人の方の穏やかであったはずの生活が一変して不安と憤りに満ちた日々となってしまった。虚偽の報告書を出した建築士の責任は当然ながら、建築主、設計事務所、施工業者、検査機関、行政など、消費者の手に届くまで係わった人すべてに責任はないとは言えない。
 青臭いことを言うようだが、もし、建築士はじめ係わった一人ひとりが、もう少し誠実であったならば、こんな悲劇は生まれなかったはずだ。誰かに人命より経済優先の思いがはたらいたとするなら、どこかで小判に目がくらんだというよりほかはない。
 人間の知恵才覚は、目がくらむと人を傷つけ殺しかねない。猫に素朴な誠実さを学ぶ時かも。

Pocket

Last modified : 2014/12/12 9:56 by 第12組・澤田見(ホームページ部)