~今を 逃げる人には 未来も 過去もない  

 人は不都合な事柄は受け入れ難いものである。出来ることならば、その状況から逃げ出したいのが本音だ。その意味では、人は意に添わぬ「今」を受け止めることができないで悩み苦しんでいるのかもしれない。しかし、我が身にとって不都合であれ、今現在の状況に頷けない限り、心は閉ざされ、我が身すら納得できなくなる。そして残された道は、絶望か、または虚構の世界に夢を見るしかない。
 しかしその「今」に、我が思いを超えた悠久の歴史と深い願いがはたらいていることに気づく時、不都合を「受け入れる」のではなく、「受け止める」世界に出遇うことができる。そこにこそ、我が身を私物化できない、「今」に凝縮された謝念の世界と確かな歩みをもった未来が開かれるのである。

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Last modified : 2014/12/13 16:32 by 第12組・澤田見(ホームページ部)