~ 往生とは 希望をもって 生きることだ ~ 曽我量深

 仏教の言葉は長い歴史の中で、異なった意味に理解され使われることが多い。「成仏」「他力本願」などの言葉も真意を損なわせる曲解や誤解がまかり通って、容認されていることは悲しいことである。今、「往生」という言葉も「行き詰まる」「死ぬ」という意味だと誤解している人も少なくない。
 そもそも、「往生」という言葉は、阿弥陀仏の本願の世界として示された浄土に往(い)き生まれ、仏道を完成させるという意味である。それはとりもなおさず、一切衆生が共に生かされ生き合う世界として示された共存の世界に生きようとする、人生の方向を示す言葉である。人間は共存の方向があるからこそ希望をもてるのである。それを往生道という。共存を見失った行き詰まる道は往死道である。

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Last modified : 2014/12/12 11:19 by 第12組・澤田見(ホームページ部)