~ 生きている ということは 死ぬいのちをかかえている ということ ~ 東井 義雄

 先日、「私、すでに棺桶に片足を突っ込んでいますから」と、寂しそうに呟かれたお婆さんがおられた。しかし、よくよく考えてみれば、棺桶に足を入れているのは、高齢になったからではなくて、理由は唯一つ、「この世に、生まれてきたから」だ。 それこそ「オギャー」と生まれた瞬間から、全ての人が「死すべきいのち」を生きている。まさに棺桶に足を入れて人生を生きているのである。 経済至上主義の中で、マネーゲームに日夜、自らの人生の時間を捧げる人の多い昨今である。いつ棺桶に横たわるか分からない我が身の事実を思う時、人生を空しく終わらせることは人生の大損である。大損を防ぐためには、まずは足を棺桶に入れている自覚から始まるように思えてならない。

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Last modified : 2014/12/12 11:20 by 第12組・澤田見(ホームページ部)