~ 車輪は回るが 心棒は 動かない ~ 

 家族間での殺傷事件が後を断たない。昨日まで一緒に生活してきた家族を衝動的に殺害してしまう。何ともやり切れない。
 親鸞聖人は『歎異抄』の中で「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし」と、人間存在の本質を押さえている。縁によって何を行うかわからない存在、それが我われ人間である。
 十人が十人、百人が百人、すべての人が日々生活の中で縁によって動いている。車輪は回っていても、依り処にしていた軸が上下前後にぐらつくと不安定になり、その場の衝動で思わぬ方向に進みかねない。今月は、京都のご本山で御正忌報恩講が厳修される。ぜひとも家族の在り方、そして自身の依り処となる心棒を確認する機縁にしたいものである。

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Last modified : 2014/12/12 11:24 by 第12組・澤田見(ホームページ部)