「人ありて 西に向かいて 行かんと欲するに 百千の里ならん」観経疏

 善導大師が『観経疏(かんぎょうしょ)』に示されたお言葉である。言葉は「忽然(こつねん)として中路(ちゅうろ)に二つの河あり。…」と続き、「二河白道(にがびゃくどう)の譬え」として有名である。
 人ありてとは、現実社会の中で、人として生まれてきたことの意義とは何であるかという問いへの目覚めを表している。西とは、憂い悩みの無い世界を求め、真に帰すべき方向を示している。行かんと欲するにとは、単に楽になりたいからという逃避ではなく、苦である人生を受けとめ、苦悩からの解放の道を求める決意を表している。人が人に成る歩み、その道は決して安直な道ではない。
 私だけ何故こうなるのかと、人生に悩み、苦しむことがある。その時、ごまかしの方向でなく、帰すべき方向を見失わないようにしたいものだ。

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Last modified : 2014/12/12 11:35 by 第12組・澤田見(ホームページ部)