~ もまれねば この味は出ぬ 新茶かな ~  

 仏教で、誰にでもできる布施行として無財の七施が説かれてあり、その中に「和顔悦色施」がある。穏やかな優しい顔つきで人に接することの意。
 先日、身近な人が亡くなられた。その人の印象はと言えば、第一に笑顔が素敵な人であったということである。
 今から思えば、その人の笑顔が「和顔(わげん)」という言葉と重なる。作家の五木寛之さんに「顔は親の責任、表情は自分の責任」という言葉がある。亡くなられたその方の人生は、並大抵の苦労ではなかったことを先日身内の方から聞かされた。
 いつしか、愛想笑いや苦笑いしかできなくなった私に、今は亡きその人の笑顔から「もまれねば この表情は出ぬ 笑顔かな」と教えられる。

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Last modified : 2014/12/12 11:46 by 第12組・澤田見(ホームページ部)