~ 帰去来(いざいなん) 他郷(たきょう)には停(とど)まるべからず ─善導大師─ ~
 中国の善導大師の著『法事讃』の言葉である。意訳すると「さあ、帰ろう。他郷に、停まってはならない」である。この言葉の次には、「仏に従いて、家に帰せよ、本国に還りぬれば、一切の行願自然に成ず」と続く。仏とは阿弥陀仏であり、家とは阿弥陀仏の家であり、本国とは阿弥陀仏の国土、つまり彼岸の国土である。他郷とは、人間存在として帰るべき処を見失った世界のことである。そして、家、本国とは、個人や国や民族の差別を超えた、人が共に生きあい、人間が帰るべき世界である。それは、個人個人ではなく人間存在そのものの故郷である。
 人間が人間としての故郷、本国を見失い、自己中心、国家民族中心主義の他郷で、互いを傷つけ合うほど悲しいことはない。さあ、帰ろう。
Pocket

Last modified : 2014/12/12 22:50 by 第12組・澤田見(ホームページ部)