一雨ごとに 花がふくらみ 一雨ごとに 芽がのびる ~ 坂村 真民 ~

 梅雨の季節を迎える。「毎日うっとうしいですね」と交わす挨拶。いつの間にか、雨は都合の悪いものだと勝手に決めつけている我がいる。
 坂村真民さんに「濡れているのは、わたしだけではなかった」という詩もある。一方、横山定男さんの詩には「朝、目が覚めたら、大雨だった。困ったなあと思いました。ますます大雨になりました。わたしが勝手に困っているんだなあと思いました」ともある。現前の境遇に落在する我が身の姿に目覚めてこそ、あるがままの自然を受け入れる言葉が滲み出てくる。ある時、傘を差す私の傍らで、アジサイが活き活きと花を咲かせているのに気づき、「雨、雨、降れ、降れ、母さんが…」と、ふと口ずさんでいた。「わたしの心も、一雨ごとに、開いてゆこう(坂村)」

Pocket

Last modified : 2014/12/13 10:55 by 第12組・澤田見(ホームページ部)