衆水(しゅすい) 海に入りて 一味なるがごとし ─ 正信偈 ─

 真宗門徒に馴染み深い『正信偈』の中の「如衆水入海一味」のお言葉である。宗祖親鸞聖人は、『高僧和讃』で「尽十方無碍光の
大悲大願の海水に 煩悩の衆流(しゅりゅう)帰しぬれば 智慧のうしおに一味なり」と和讃されている。
 日ごろ私たちは、自他を分別する心に固執し、家族の間ですら我が意に沿うか否かの壁を作り対立して貪・瞋・痴の三毒を生み出している。その三毒から離れることのない煩悩具足の凡夫のままに、共に生かされて帰すべき「いのちの一味なる世界」に如何に気付き、頷くか人生の一大事である。
 今月は「海の日」を迎える。「本願海・大智海」と阿弥陀仏のはたらきを「海」に譬えられた『正信偈』の意を私の生活の上でしっかりと確かめたいものだ。

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Last modified : 2014/12/13 10:56 by 第12組・澤田見(ホームページ部)