慈姑(くわい)には 慈姑にしかない 味がある ~榎本栄一~ 

 お正月のおせち料理につきものの「クワイ(慈姑)」。「芽が出る」というところからめでたい(芽出度い・目出度い。愛でたい)と、重箱の片隅に盛られる。「慈姑(母)の諸子を乳するが如し」で「慈姑」と書くそうだ。蓮根と同様に湿地で育つ。洋食に慣れた者には美味ではない。栗のような独特の風味だ。
 思えば、人間にも各人各様の味がある。がしかし、現代社会の中で個性と言いながらも、どこかで画一化され、自分自身の風味を味わうことを忘れているようである。しかし、そんな中でも阿弥陀如来の本願は休むことなくいのちの大地から「あなたには、あなたの味がある。味わうべし」と呼びかけている。「いのち輝け!今、いのちがあなたを生きている」。私が私の味に目覚めるこの一年でありたい。

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Last modified : 2014/12/13 11:03 by 第12組・澤田見(ホームページ部)