人間は 一生を通して 誰になるものでもない 自分になるのだ ~  仲野良俊  ~ 

 夜遅くの電車に鞄を持った子どもをよく見かける。今時珍しくはない塾の帰りらしい。子どもに限らず人は、知識を吸収し、ものの見方や考え方を身につけ、自己を形成していく。しかし、知識や経験を身につけることで、本当に喜べる人生をおくることができるのだろうか。
 お釈迦さまは、能力の優劣や知識の多少等で比べる必要のない、尊いいのちを一人ひとりが生きていると明らかにされた。そのことは能力や知識だけで分かることではない。仏の教えを聞き続け、尊いいのちに生かされているという事実に気づかされるしかない。「誰でもない、この私でよかった」と心の底から喜べる「自分」をいただいていきたいものだ。

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Last modified : 2014/12/13 12:22 by 第12組・澤田見(ホームページ部)