問い

亡くなった人の遺骨を仏壇の中に入れておいてよろしいか、又、納骨する時期や場所についてお教え下さい。

答え

 遺骨は、火葬場で収骨のあと家に持ち帰り、中陰壇(ちゅういんだん)に安置し、四十九日が過ぎれば適当な時期に納骨しますが、納骨するまではしぱらくお内仏(ないぶつ)の中に安置しても差しつかえありません。ただしその場合、御本尊の前をふさがぬよう、最下段に置くようにして下さい。

 納骨する時期は特別に決められてはおりません。真宗門徒の多くは、中陰(亡くなった日から数えて四十九日まで)の間は、中陰壇をお内仏の横に設けて、お内仏に準じたお給仕(きゅうじ)をしますが、あくまでお内仏の御本尊を中心にお勤めします。人が亡くなれば、お仏壇の扉を閉めてしまうなどはとんでもないまちがいです。

 お給仕は毎日しますが、七日目毎に住職さんをお招きして共々にお勤めをします。四十九日目は、縁のある方々にも参詣してもらって特にていねいにお勤めをします。

 四十九日(三十五日の場合もある)の法要が終了した後、適当な時期にお墓か納骨堂に納骨すればよろしいが、分骨(ぶんこつ)して御本山(真宗本廟(しんしゅうほんびょう))、また大谷祖廟(おおたにそびょう)に納骨を希望される場合は、一周忌か三回忌法要あたりまで延ばしてもよいかと思います。

 納骨の場所は、他宗派のお寺ではなく真宗大谷派関係のしかるべき場所にお納め下さい。わからない時は、住職さんにご相談下さい。

 遺骨には亡くなった人の魂(精神)は宿っておりませんが、私達の思いが働きます。懐かしい親、いとしい主人、可愛いお子さんを亡くされた場合、その思いはなおさらの事でしよう。このような亡き有縁の人に寄せる心情は大切にしなくてはなりません。

 ところが、情に流されていつまでもその思いに執(とら)われ、悲しみに心を塞いでいてはなりません。また、「去るものは日々にうとし」で、別れた当座は亡くなった人についてゆきたい程に思つた感情も、日がたつにつれて薄れ、薄れると同時に本当に大切なものまで薄れてしまうことがあります。

 「死は沈黙の遺言」です。亡き人は、厳しゅくな死をもつて、私達に命がけで遺言(教え)を遺しておられるのです。その身をかけた教えを聞きもらしたならぱ、亡き大切な人を無駄死させることになります。、

 その遺言とは一言でいえば「尊厳なる生命(いのち)に身をもって目覚めよ」と教えておられるのでしょう。親しい人との別れ難い思いを大切にしつつ、亡き人の本当の願いに心の耳を傾け、「あなたのお陰で尊い事実に気付かせていただきました。」という教えに遇ってゆく御縁となるよう遺骨を扱って下さい。

(本多惠/教化センター通信)

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Last modified : 2017/03/01 20:22 by 第0組・澤田見(ホームページ部)