問い

私の家は代々浄土宗で、祖父はお寺の檀家総代もしていました。ところがなぜか父母は幼い私を連れて近くの真宗のお寺にお話を聞きに行っていました。そのせいか私も非常に真宗に親しみを持ち、時折聞法させてもらっています。父母も亡くなり、私の代で真宗に改宗したいと思うのですが、それはご先祖を粗末にすることになるのでしょうか。

答え

 浄土宗から真宗に改宗されることは何も問題はありません。あなた自身の決断しだいです。そのことがご先祖を粗末にすることにはなりません。

しかし、今まで関係しておられた浄土宗のお寺の住職さんとキチンと話をしてケジメをつけておく必要があるかと思います。それも今まで所属していた寺を変える場合のことであって、必ずしも長年つき合ってこられた寺から離れることもなかろうかと思います。真宗の教えを聞き、それを生きる指針としていかれればよいのでしょう。

ただし、どうしても自分の生きる証として具体的な形に表したいと思われるなら、まず自分の尊敬する真宗のお寺の住職さんに相談され、そして帰敬式(おかみそり)を受けて名実共に真宗門徒になられることなのです。帰敬式とはキリスト教で言う洗礼にあたるもので、今後仏教徒特に親鸞聖人の教えを聞き、その教えに依って生きてゆきますという決意を表明することです。

いずれにしても真宗に親しみを持たれたことはスバラシイことであり、深い宿縁によるものです。世の中には幾多の宗教・宗派がありますが、親鸞聖人が真宗と顕(あらわ)され教えられる仏教はまことに深遠(じんのん)なる内容のものです。真宗は「本願の宗教」と言われ、「弥陀の本願には老少善悪の人をえらばれず」と教えられますように、すべての人を平等に導き、救ってくださると言う仏教本来の教えを民衆の中で明らかにし、民衆と共に歩んでくださった方が親鸞聖人で、その教えを真宗といいます。

「真宗に改宗したいと思うのですが、それはご先祖を粗末にすることになるのでは」と懸念しておられますが、とんでもないことです。形はどうあれ、親鸞聖人の教え、真宗を聞き、それを生きる指針とされることは、ご先祖の願いを大切にすることであり、同時にあなた自身のほんとうの生き方にもなるのでしょう。

(本多惠/教化センター通信no.144)

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Last modified : 2015/02/20 0:33 by 第0組・澤田見(ホームページ部)