あみだぶつ ここをさりたまうこと とおからず

~「阿弥陀仏 此を去りたまうこと 遠からず」~観無量寿経~

「西方に十万億の仏土を過ぎて、世界あり、名づけて極楽と曰う。その土に仏まします、阿弥陀と号す」とは『阿弥陀経』の言葉だ。阿弥陀仏の浄土は、人間の思いを超えたはるか彼方にあると説かれる。一方、『観無量寿経』では「遠からず」と示される。どちらも真実であろう。自分の計らいや思いの延長線上の世界ならば、それは自分の都合に合わせた世界である。我が思いが破れ、計らいが通用しない世界であるが故に、はるか彼方である。同時に浄土は、我が現実の苦悩を縁にして、心の奥底から求められる世界であるが故に「遠からず」である。
 清沢満之師は「人心の至奥より出づる至盛の要求の為に宗教あるなり」と言う。阿弥陀仏は人間の根底にあって「彼岸へ帰れ」と呼びかけている。

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Last modified : 2014/12/12 9:49 by 第12組・澤田見(ホームページ部)