~ ひとりの殻を出て 縁あるままに 人に遇う 仏に遇う ~ 榎本栄一 

 電車の中で隣り合わせた人の耳元から、ロック音楽の音が漏れ、不快感を感じた。ところが本人は、目を閉じてヘッドホンから流れてくる音楽の世界に浸っている。周りの存在が見えてないのだろう。
 昨今、携帯電話の機能も充実し、通話以外にも音楽やカメラ、ゲーム、ほかにも溢れんばかりの機能が内臓されている。その人の人間関係もこの一台に集約されているといっても過言ではない。自分だけの世界がそこにある。常に居心地の良い世界が確保でき、これほど便利な機械はない。
 確かに自分だけの世界(殻)に安住する事ほど楽なことはない。しかし、肉声や体温が伝わらない事もある。浄土(彼岸)は、人と人とが真に共に生き合える世界に目覚めて欲しいと呼びかけているのである。

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Last modified : 2014/12/12 11:28 by 第12組・澤田見(ホームページ部)