釈迦 韋提(いだい)をして安養(あんにょう)を選ばしめたまえり ~親鸞聖人~ 

『観無量寿経』は、我が子によって牢獄に入れられるという悲劇に遭い、釈尊に救いを求める韋提希(いだいけ)夫人の求道が主題である。夫人は釈尊に「我がために広く憂悩なき処を説きたまえ」と懇願する。そしてついに、仏力によって阿弥陀如来の浄土(安養土)に生まれたいと願うのである。
 よくよく考えてみると、悲劇に出遇わなくとも、誰もが憂いや悩みの無い、我が身の在り場所、居場所を求めている。しかし、ややもすると、我が意に叶うか否かが関心事となり、意に沿わないものは、限りなく排除した居場所を求めるものである。
 この「身」と存在の場所としての「土」は不離一体だ。如何なる「土」を願うか。経典は「願生浄土」こそ人間が真に目覚める道であると教えている。

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Last modified : 2014/12/13 11:02 by 第12組・澤田見(ホームページ部)