私のあたまに つのがあった つきあたって 折れてわかった ~榎本栄一~ 

 榎本さんの詩集『群生海』(別院発行)の中にある「つの」という詩だ。昔から2月の節分には「鬼は外、福は内」と豆を撒いて福を願い、災いを払うという習慣がある。災いを「つの」を持った「鬼」に仕立て、福を願うのが人の世の常である。当然、自分の頭に「角(つの)」があるなんて誰も思ってはいないだろう。自分にとって不都合な事柄を「鬼」に見立てて、なんとか排除したいのが人間である。
 しかし、自分の外に「鬼」を作れば作るほど、気がつけば、自分の頭の角が伸びていく。貪り鬼、怒り鬼、愚痴り鬼、妬み鬼。いつしか孤独な鬼になりかねない。そんな自分の「つの」に気付かせてくれる教えに出遇えた時は素晴らしい。心の「つの(角)」は外せないが、折れれば闇も晴れてくる。

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Last modified : 2014/12/13 11:47 by 第12組・澤田見(ホームページ部)