『歎異抄』 前序

「竊回愚案、粗勘古今、歎異先師口伝之真信、思有後学相続之疑惑、幸不依有縁知識者、争得入易行一門哉。全以自見之覚悟、莫乱他力之宗旨。仍、故親鸞聖人御物語之趣、所留耳底、聊注之。偏為散同心行者之不審也云々」

竊かに愚案を回らして、ほぼ古今を勘うるに、先師の口伝の真信に異なることを歎き、後学相続の疑惑あることを思うに、幸いに有縁の知識に依らずは、いかでか易行の一門に入ることを得んや。全く自見の覚語を以て他力の宗旨を乱ることなかれ。よって、故親鸞聖人の御物語の趣、耳の底に留まる所、いささかこれをしるす。ひとへに同心行者の不審を散ぜんがためなりと云々。

朗読:VOICEROID [47秒]

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Last modified : 2019/05/26 16:38 by 第27組・平野圭晋([実]ホームページ)