ヒオウギ
極楽のあまり風

 環境の変化で年々暑くなり、暑い時期も長くなったように思われます。むし風呂にいるようなむし暑さ、そこへまことに涼しい風が吹いて来ます。一瞬、生き返ったように精気を回復します。吹いて来る涼しい風を、昔の人は「極楽のあまり風」といただきました。

 汗びっしょりの暑い夏、さっと吹いて来る一陣の涼風は、まさに極楽から吹いて来たような有難い涼風(すずかぜ)です。

 『広辞苑』(岩波書店)にも「ごくらくのあまりかぜ〔極楽の余風〕。気持ちのよい涼風。極楽の西風ともいう。」と載っています。

 経典の『大無量寿経』にも、「自然徳風、徐起微動、其風調和、不寒不暑、温涼柔軟、不遅不疾。」{自然の徳風、徐(ようや)く起こりて微動す。その風調和にして、寒からず暑からず。温涼柔軟にして遅からず疾(と)からず。}また、「風触其身、皆得快楽」{風その身に触るるに、みな快楽(けらく)を得(う)。)と書かれています。

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Last modified : 2014/12/10 14:22 by 第12組・澤田見(ホームページ部)