
おかげさまのこの一年
「小さな恩には気づいても、大きな恩には気づかない」と言われます。
私たちは、毎日の生活の中で、人から物をもらったり、人に親切にしてもらったりした時には、相手の人に対して「ありがとうございます。お世話になりました」とお礼を言いますが、目に見えない大きな恩と無数のご縁をいただいて生かさせてもらっていることにはふだんはなかなか気がつかないものです。
まず、私たちの先祖と言いますと、せいぜい一、二代、自分の両親、そしておじいさん、おばあさん、(ひいじいさん、ひいばあさん)くらいしかわかりません。しかし、何代もさかのぼっていきますと、それこそ途轍(とてつ)もない無数のご先祖がいらっしゃいます。その無数のご先祖のいのちが、私たちのいのちの中に生きて、流れて、働いてくださっているのです。私たちはご先祖を想う時、果たしてこのような数限りないいのちのご先祖のことに想いをいたしているでしょうか。
そのかけがえのないいのちをいただいて生かされている私ですが、ふだんは自分ひとりのカで生きているつもりでいます。私たちは、1日に24,000回呼吸しているといわれます。そのために酸素が1日に1kg要るのです。しかも、それがただで与えられています。それで生かされて生きているのです。もちろん、一呼吸一呼吸はもとより、心臓の鼓動一つ、自分の思いで動かすことも止めることもできません。身体の働き全体が自分の思いに先立ってすでに生かされているのでしょう。
また、私たちの周囲にある大自然の働きも、自分の力で作ったものではありません。太陽の光と熱、土地も、空気も水も木々も、野菜も魚も動物も、私の生きていく上になくてはならないものばかりです。
三度三度口にしているものも、数多くの動植物のいのちをいただいておかげさまで生かされているわけです。もったいないことだと思います。
さらに、私たちはひとりでは生きていけません。ずいぶん多くの人たちのお世話になり、助けられ共に生きているのです。
文化、科学、技術の発達のおかげで、年々生活も便利になり、豊かになって来ました。
このようにみて来ますと、「みな、わがはからい」ではなく、目に見えない大きな恩と恵み、無量無数のご縁をいただいて生かさせていただいていることがわかります。 ありがたいことです。
今年も、あとわずかになって来ましたが、「おかげさま、おかげさま、おかげさまのこの一年」と共に喜び合える毎日毎日でありたいとしみじみ思うことです。
(平成12・12・1)
Last modified : 2014/12/10 3:22 by 第12組・澤田見(ホームページ部)