問い

私の家は分家したのでお仏壇がありません。最近、次々と悪いことが起こってうまくいきません。やはりお仏壇を買って、ご先祖を祀(まつ)ったほうがよいでしょうか。

答え

 お仏壇は本尊(本当に尊いこと)を安置する場所です。本尊は精神生活の中心です。家屋にたとえると大黒柱のようなものです。
 木造の家ですと必ず家屋の中心に大黒柱があります。家には多くの柱があり、壁があり、建具があって、それらが助け合って全体を支えています。仮に大黒柱一本がなくても家は建っているかもしれません。しかし台風や地震に遇えば家全体が、ひとたまりもなく倒れてしまうでしょう。
 ところが中心を支える大黒柱がデンとかまえてビクともしなければ、瓦が少々吹きとんでも、雨戸が破れようが、柱が一本折れようが、家全体に大きな支障はありません。台風一過、修理すればまた元通りに回復いたします。

 家庭に本尊がないことは、鉄筋コンクリート建のアパートでいえば、鉄筋がないようなものです。鉄筋は外から見えません。ですから、平穏無事な時には役に立っているのか、不要なのかわかりません。しかし、鉄筋のないコンクリート建のアパートは地震があれば、またたく間に崩れてしまいます。精神生活の大黒柱がデンと立ってさえいれば、どの様な事が起こっても、必ず立ち直ることができます。

 また「最近、次々と悪いことが起こってうまくいきません」と言われていることですが、お仏壇は、「うまくいく」ために先祖を祀って慰めるものではありません。ご本尊を安置しても縁がくれば悪いこと(?)は起きます。しかし「悪いこと」と仰ることは、自分にとって都合の悪い嫌な事ということであって、何か実体的な悪い事が取りついてくるのではありません。本尊は、この様な私の都合の心によって善し悪しに振り廻されている私自身を明らかに照らされる働きなのです。だから真宗では、お仏壇を「お内仏」と言います。私の家の内に来て下さった仏様、更に私の心の内に来て下さった仏様という意味です。

 家庭における精神生活の鏡である本尊を安置する「お内仏」を、一日も早く求められることをお勧めいたします。

(本多惠/教化センター通信 No.1)

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Last modified : 2017/03/01 20:21 by 第0組・澤田見(ホームページ部)