問い

実家の仏壇をまつる人がとだえたので、引きとって現在二つの仏壇をまつっています。どうしたものでしょうか。

答え

 今の時代は子供の数も少なく、核家族化の傾向で、このような例がよくあってしばしば相談を受けます。問題は、仏壇という物がらを見るのではなく、中心であるご本尊をお敬い(うやまい)するという念に立って考えることです。

 実家はあなたの生まれ育てられた場所ですから、そこのお内仏(ないぶつ)はあなたにとって、かけがえのない大切なものでしょう。また家庭にあるお内仏も現在お敬いしている大切なものです。そこで方法は二つあると思います。

 一つは、二つの仏壇を大切に安置してお給仕することです。ある家では一階に一つ、二階に一つお内仏を置いて親子でお敬いしておられます。一家に二つの仏壇を置くと家が分裂するとか、先祖が迷うとか言って心配される人がありますが、そのようなことは絶対ありません。二つのお内仏を大切にお給仕し、子供が独立する時に一つ譲ってあげるのも方法だと思います。

 もう一つの方法は、一つのお内仏にまとめることです。どちらかの仏壇を家庭に置いて、他方はお寺の住職さんに相談して処分することです。要はご本尊を安置して礼拝の生活をすることが大切ですから、一つのご本尊の前で両家のご先祖の仏事を行って差しつかえありません。実家のご先祖の法名軸や過去帳は仏壇の小引出しに保存しておき、ご命日、彼岸、お盆、報恩講、正月などに取り出してお給仕、勤行(ごんぎょう)をされたらよいでしょう。

 この場合、両家の先祖が肩身の狭い思いをしたり、ケンカをするのではないかと思うのは全くのナンセンスな心配です。阿弥陀仏の世界は「倶会一処(くえいっしょ)」と説かれ、亡き人々はすべて同じ一つの世界に生まれて出会い、諸仏となって共なる世界におられるのであります。

 くり返しますと、お仏壇すなわちお内仏はご本尊を安置する場所であり、ご先祖を押し込めてある場所ではありません。あくまでご本尊が中心でありますから、ご本尊を大切にお敬いすることをご先祖も喜ばれるのでありましょう。仏壇を動かしたり、処分したりすると何か不都合が起こるとか、罰が当たるのではないかという心配は無用です。ご住職に相談されながら、丁重に事を運ばれれば結構と存じます。

(本多惠/教化センター通信 No.58)

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Last modified : 2014/12/09 6:16 by 第12組・澤田見(ホームページ部)