~「自分の心が 一番しまつに困る 承知せぬのは 自分の心である」 曽我量深

 「幸も不幸も、ものは思いようだ」と言う人がいる。確かにそうできれば苦労はない。しかし簡単にいかないのが人間の心である。腹を立てまいと思っても、腹立ちは容易くおさまるものではない。自分の思いに執着し、心の置き場所に迷って、我が心に手を焼いているのが人間のありのままの事実である。ややもすると、憂さ晴らしをし、自分を正当化し他を責め、孤独の世界に閉じこもりかねない。
 「さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし。」親鸞聖人の言葉だ。縁(条件)次第で何を思い、何を口走り、何を行なうか分からないのが身の事実である。その事に目覚めた時、他の誰をも責めることのできない「共に是れ凡夫ならくのみ」(十七条憲法)の世界が開けてくる。

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Last modified : 2014/12/12 9:58 by 第12組・澤田見(ホームページ部)