Web連動企画【BOOKSしゃらりん堂】1

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教区教化委員会広報誌『しゃらりん』編集部員がお勧めする本の紹介です。本誌でも二人のかたが書いていますが、それ以外の委員のものを月に一度、銀杏通信上で連載いたします。今回は第一弾として、平野委員の書評です。

『同性愛は「病気」なの?』牧村朝子/星海社新書(2016)

平野圭晋

昨年、『おっさんずラブ』が好評だったせいか、この春は『きのう何食べた?』『腐女子、うっかりゲイに告る。』と性的マイノリティを扱ったドラマが目立ちます。LGBTに対する偏見はまだまだ払拭されていませんし、物珍しさによる注目という部分も否めませんが、少しずつですが社会での認識が変わってきているようですね。

先月5月25日、WHOの総会において性同一性障害が精神障害の分類から除外されました。では同性愛は?ご存じの方は少ないと思いますが、同性愛は既に1993年に除外されているんです。それから考えますと、なんと歩みの遅いことかとも思います。

さて、同性愛は一つの生き方であって、それを病気という枠に押し込められることによって受けてきた当事者の苦痛は計り知れません。治療の対象であるということは、ありのままの私が否定されることだからです。しかし、同性愛が非人間的な行為として犯罪とされた時代、病気とすることによって同性愛者を守ろうとした歴史もあります。残念ながらそのことが新たな偏見を生んでしまうのですが……。正常という立ち位置の人間からの「当事者にとって善かれ」「社会にとって善かれ」、そうした危うい善意と愚かさの歴史がこの『同性愛は「病気」なの?』と題されたこの本の中には記されています。

同性愛という言葉がなかった時代にこの言葉を生み出したある二人の悲しい友情の物語から始まって、同性愛を病気とみなした理由探しの歴史が綴られます。また好奇の目の歴史も綴られます。

その上で作者は「人は同性愛者と非同性愛者に分けられるものか」という疑問を投げかけます。同性愛診断テストというものがありますが、みなさんはそれを必要とだと思いますか?それによって私たちはどんな確証を得たいと望んでいるのでしょう。何から隔てたいと望んでいるのでしょう。

「どうすればそれぞれ違った人間が同じ社会でくらせるのか」という作者の課題は、「バラバラでいっしょ」という同朋社会の顕現とも共通します。しかし現在、一般社会だけでなく真宗の僧侶、門徒の間においても、あからさまな差別こそ控えられていますが、控えられているだけで拒否感はなくなってはいません。同性愛をネタにするという風潮も改まっていません。そんな、分別し、差別し、共にということを忘れがちな私たちの業をこの本から教えていただいてはいかがでしょうか。

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