18組坊守会研修旅行

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5月14日、18組坊守会で、研修旅行に行ってまいりました。
最初に訪れたのは、「道の駅・なら歴史芸術文化村」です。

この施設は天理市に位置する施設で、比較的新しく2022年3月に開業されたそうです。

特筆すべきは、仏像などの彫刻、絵画・書跡、歴史的建造物の文化財修復作業現場が通年で公開されている点で、なんと日本初の取り組みとのこと!
一般的な「道の駅」のイメージとは異なり、知的好奇心を満たす「学びの拠点」としての特色が際立っていました。

学芸員さんの説明も素晴らしかったです♫

向こう側が透けるカンナ屑や、釘を使わない組み木の技術に興味津々。学びのある一味違った道の駅でした♫

 

そして今回の旅のメインと言っても過言ではないのが、真言宗・長岳寺でのご住職による大地獄絵の絵解き説法のご拝聴です。

ご住職は開口一番、笑顔で
「浄土真宗の坊守さんが地獄のお話を聞いたって仕方ないでしょう? 念仏で極楽に行かれることが決まっておられるんですから(笑)」
と、冗談を交えてあたたかく迎えてくださいました。思わず心が和みます♫

9幅からなる大地獄絵(レプリカ)を指しながら、ご住職は、墓地から入る冥界、十王の裁き、三途の川、十界の情景を順にご紹介くださいました。
「それがどんなもので、どこへ行くのか、なぜそうなっているのか——ざっくりとお話ししましょう」
と語りかけながらの解説は、決して難解なものではなく、どなたにも理解できるよう工夫されていました。

教壇に27年間立たれていたというご経歴が、お話のわかりやすさと親しみやすさに表れていたのかもしれません。

さらに、「いまの世界情勢こそ、まさに“地獄”ではないでしょうか」と、現代を重ねて語られる場面もあり、心に迫るものがありました。

終始ニコニコ顔。和顔愛語そのままを体現されている北川住職。時間を忘れて聞き入ってしまいました。

最後には、
「本当はフルコースでお話ししたいところですが、このあとも行程があるでしょうから、今日は“Bランチ”程度で終わらせていただきます」
と、ユーモアを交えたお言葉で締めくくられました。

いつか“フルコース”の説法も拝聴させていただきたいものです♫

 

昼食は、高取町の薬膳料理を楽しませていただきました。
この町は、「くすりの町」として知られ、吉野・金峯山寺のふもとに位置しています。古くは修験道の行者たちが伝えた薬の知識が、現在まで受け継がれているそうです。

女将さんによる薬膳のお話を聞きながらいただくお料理は、どれも滋味深く、目にも舌にも、そして耳にも嬉しいひとときでした。季節ごとにメニューが変わるとのことで、また訪れてみたいと思わせる魅力がありました。

ロッククライミングがご趣味の女将さん。薬膳の効能のお話にも説得力が増します♫ ケヤキの薬箱で提供される料理の品々。

 

 

帰路の途中、「道の駅・かつらぎ」にて最後の休憩とお買い物。
この時期、奈良のお土産といえばやはり苺。
古都華、アスカルビー、珠姫など、関西でも屈指のブランド苺が取り揃えられており、バスの中は甘い香りで満たされました。

新型コロナの影響も落ち着きを見せ、ようやくこうして研修旅行が実施できるようになりました。

今回あらためて現地を訪れ、地域の方々のお話を伺い、その土地の歴史や風土にふれることの尊さを、深く実感いたしました。

また、その地で育まれた食を自ら味わうという体験も、短い旅路の中にあって、大いなる学びと喜びであったと感じています。旅の本質を存分に味わう、実り多いひとときでした。