27組人権学習公開講座開催

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5月27日午後7時から9時まで大和大谷別院会館を会場に「27組人権学習公開講座」が開催されました。講師は奈良県立同和問題関係史料センター所長の奥本武裕氏をお迎えし、「浄土真宗の広がりと大和の地域社会 -歴史からみた部落問題と浄土真宗-」と題して講演をいただきました。
最初に「部落問題」の現在の取り組みと課題をお話しいただき、それぞれの地域社会に即して、そもそもどのような問題かということについて改めた考え直すことを勧められました。
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現在の「部落史の見直し」の動向では、近世政治権力創出論の見直し(士農工商の下に「穢多」「非人」⇒武士と百姓・町人のほかに「穢多」「非人」)・超歴史的貧困論の見直し(穢多身分の多くは農業を営み年貢を納めていた)・社会差別の実態(卑賎視・蔑視・忌避・排除)が研究され、教科書の記述が変化してきていることを教えていただきました。
被差別部落と仏教の関係では、全国的には真宗だけではない被差別部落の宗派の状況が資料から読み取れ、真宗優勢地域でも寺院の存在様態に地域差が存在することを示されました。
また、特定の地域において真宗が緊密な結びつきを持つのは、戦国時代に真宗の教線が展開していく中で、被差別民を排除せず、穢れを厭わない真宗の教説を、被差別部落へ活発に布教する門流があり、その「浄」「不浄」を選ばない宗祖の教えが広く受容されていたからであると、理由を示されました。
次回は、江戸時代の寺院をめぐる被差別部落(穢多村)内外の社会的諸関係について講演していただきます。
また、次回講演予定が決まりましたらお知らせいたします。