水平社 日帰り研修

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先日、12 組の日帰り研修で奈良県御所市にある「水平社博物館(旧・水平社歴史館)」に行ってまいりました。
御所駅は「JR和歌山線」および「近鉄御所線」の終点に位置しますが、駅からかなり離れているため、今回はマイクロバスで向かいました。

「水平社」とは……
1922 年 3 月 3 日、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」をスローガンに、人間の尊厳と平等を大切にするために、全国水平社大会が
京都市岡崎(平安神宮のすぐ横)で開かれました。創立から一昨年で 100 年が経ちました。水平社が発表した宣言は、日本で最初の人権宣言として
今も大切にされています。平和と人権を目指す部落解放運動の始まりは全国水平社にあり、その歴史と精神は多くの先輩たちの努力によって
築かれました。
1986 年、奈良県御所市柏原で地区改良事業が始まり、景色が変わる中で水平社の精神が薄れることが心配されました。この柏原を抜きにして
水平社を語ることはできず、ここでの闘いの歴史を永遠に残したいと考えるのは当然のことです。水平社の創立者たちをはじめ、多くの名もなき
先輩たちが差別に立ち向かって生きてきた事実を掘り起こし、その足跡を保存していくことの重要性を感じ、「水平社歴史館」を建てることに
なりました。
世界人権宣言が国連で採択されてから 50 年が経ち、「人種差別撤廃条約」の批准や「国連人権教育のための 10 年」の決議、日本でも
「人権擁護施策推進法」や「アイヌ新法」が制定されるなど、人権に対する関心が高まっています。この盛り上がりをきっかけに 21 世紀を
人権の時代と位置づけ、先駆的な役割を果たした水平社の世界史的な意義を捉え、水平社発祥の地、御所市柏原を人権のふるさととして
「水平社歴史館」を設立しました。(※水平社博物館 HP より要約)

到着後、ガイドさんの説明を聞きながら館内を巡りました。水平社発足の歴史などがわかりやすく展示されており、また要所要所でガイドさんの
補足説明が入り、水平社博物館が差別撤廃に向けた情報を発信する施設としてどれだけ有用であるかを理解しました。一昨年のリニューアルに伴い、
展示内容は非常にわかりやすく、さらにガイドさんの補足説明も加わり、理解が深まりました。
差別そのものがあった歴史を知らないままでいれば、やがて差別そのものがなくなるのではないかという「寝た子を起こすな論」があります。
しかし、そのような考えでは、最初に聞いた情報が全てとなってしまう恐れが非常に高いため、差別の歴史を「認識」することの重要性を改めて
感じました。
差別・同和問題はその人の取り巻く環境によって全く意見が異なることが予想されます。非常に難しい問題です。私は善悪の分別をつける立場では
ありませんが、それでも今もなお根深く続く差別の歴史を「認識」することは必要だと思います。
そういう意味でも今回の日帰り研修は非常に有意義なものであったと強く感じました。(文責 長谷正利)