不安から開かれる道
- 2020年05月03日(日)17:39
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難波別院リーフレット「不安から開かれる道」
社会に「不安」が蔓延しています。「この先どうなる」「もっと悪くなるのでは」「死んでしまうかも」と、人類の叡智を持ってしても拭えない不安に押しつぶされそうです。それに仏教はどう答えるかと言うと、とても冷静で「不安は解消しないのだ」と教えます。
不安を仏教では怖畏と言います。『華厳経』というお経はそれを五怖畏と分けます。「不活畏・堕悪道畏・悪名畏・死畏・大衆威徳畏」の五つです。さしずめ冒頭の不安は「不活畏・堕悪道畏・死畏」、残る「悪名畏・大衆威徳畏」は、「悪口を言われるのではないか」「大勢の前で恥をかかされるのではないか」という不安です。よくよく考えてみれば、怖畏はいつの時代にもあるものです。食べていけなくなる(不活畏)・世の中が悪くなる(堕悪道畏)なんて、毎日のニュースで見聞きしたことばかり。人類が常に不安を持ち歩いてきたことを、仏教は何千年も前からお見通しなのです。たぶん今の騒ぎがおさまれば、人はまた新たな不安を生み出すことでしょう。
同じ『華厳経』に「歓喜地を得て、すなわち五怖畏を過ぐ」と、不安を乗り越える道が説かれていますが、「菩薩さまと同じように歓喜地を得なさい」という意味です。しかし、歓喜地は「菩薩さまの永い修行がいよいよ最終段階に入る少し手前」。生身の人間には到底到達できない境地です。
これはとある座談会の席のこと。Aさんは様々な不安を抱え、仏教に救いを求めての参加でした。「来ようか来ようまいか悩みました。参加しても不安は消えなかったけど、来てよかった」と、Aさん。そこへ日頃から元気な聞法者のBさんが「それが初歓喜地じゃないの!よかったね」と励まされたのです。表現が難しいため、Aさんはキョトンとされていましたが、横で聞いていた私がハッとさせられました。そうか、人はどこまでも不安を解消することばかり考え、涙ぐましい努力をするものの、自らが不安を生み出している以上、それを消すことはできない。しかしそれをそのまま受け入れてくれる人、共に歩む人と出遇えた時、不安は不安のままに生きてゆける道が向こう側、つまり如来さまの側から開かれることがあるのだな、と。
本願寺第8代・蓮如上人は「疫病によって私たちが初めて死ぬわけではない、生まれたからには死に向かっているので、驚くことはない(取意)」と言い切られます。宗祖親鸞聖人も飢饉の際、「多くの人が亡くなられたのは気の毒だけれど、生き死にとは移ろい変わる世の中の真実だ、と如来さまがおっしゃっておられるのだから、驚くことはない(取意・『末燈鈔』より)」とおっしゃいます。
それは、どうせ死ぬとか、死んでも構わないという運命論や開き直りではありません。「不安から逃げず、不安に負けて無用に他者を責めたり争ったりせず、むしろ不安をきっかけに、いつかは終わる我が人生を見つめ直し、共に今を生きよう」と言う励ましのお言葉なのです。
多くの縁が重なり合うこの社会。生きていればいろんなことがあるものです。それが如来さまの説かれる真実です。ならば許される範囲で身近な人と不安を語り合い、苦しみを分かち合い、共に生きて乗り越えていこうではありませんか。南無阿弥陀仏。
(難波別院・竹中慈祥)
疫癘の御文
当時このごろ、ことのほかに疫癘(えきれい)とてひと死去す。これさらに疫癘によりてはじめて死するにはあらず。生まれはじめしよりしてさだまれる定業(じょうごう)なり。さのみふかくおどろくまじきことなり。しかれども、いまの時分にあたりて死去するときは、さもありぬべきようにみなひとおもえり。これまことに道理ぞかし。このゆえに、阿弥陀如来のおおせられけるようは、「末代の凡夫、罪業のわれらたらんもの、つみはいかほどふかくとも、われを一心にたのまん衆生をば、かならずすくうべし」とおおせられたり。かかる時はいよいよ阿弥陀仏をふかくたのみまいらせて、極楽に往生すべしとおもいとりて、一向一心に弥陀をとうときことと、うたがうこころつゆちりほどももつまじきことなり。かくのごとくこころえのうえには、ねてもさめても、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏ともうすは、かようにやすくたすけまします、御ありがたさ、御うれしさを、もうす御礼のこころなり。これをすなわち仏恩報謝の念仏とはもうすなり。あなかしこ、あなかしこ。
延徳四年六月 日(『御文』四帖目 第九通/『真宗聖典』827頁)
21組法話冊子②「生きるとは…阿弥陀さまからの提案」沖野頼信氏
- 2020年05月01日(金)6:00
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大阪教区第21組「推進員の集い」講話録の第2回目です。
21組法話冊子②「生きるとは…阿弥陀さまからの提案」/沖野頼信
→冊子を銀杏通信に公開するにあたって(第21組組長・山雄竜麿氏)
〈今後の更新予定〉
5月8日「死んだらどうなる? 問われる生き様」高橋法信氏
5月15日「南無阿弥陀仏で本当に救われる?」澤田秀丸氏
5月22日「南無阿弥陀仏で本当に救われる?ー救われるとはどういうことかー」澤田秀丸氏
21組法話冊子①「推進員になったけれども…」大橋恵真氏
- 2020年04月24日(金)6:00
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第21組のご厚意により、大阪教区第21組「推進員の集い」講話録をご提供しただくことになりました。つきましては全五冊を毎週金曜ごとにアップいたします。
第1回目の今回は『推進員になったけれども…』、ご法話は第18組遠慶寺の大橋恵真氏です。またあわせて第21組組長の山雄竜麿氏からメッセージをいただいております。
冊子を銀杏通信に公開するにあたって
新型コロナウィルスの感染防止のために全国への緊急事態宣言が発出されました。日々報道される感染状況には目を覆いたくなり、強い自粛要請でどれほど日常が束縛されているでしょうか。ふと沸き起こる不安や怖れを強く感じます。
当組では、このような状況を鑑み、2015年から発行を続ける「大阪教区 第21組 推進員の集い」の講話録を、大阪教区ホームページ「銀杏通信」で公開することにいたしました。
なお上記「推進員の集い」では、座談会に重きを置いたため講話時間は35分程度です。冊子にまとめると20ページ足らずで一気に読めます。
それぞれのテーマの選定理由などは奥付上部を参照していただければと思いますが、逆境ともいえる現在の状況を縁として少しでも多くの方に真宗に触れていただければ、いえ、少しでも仏様の救いを感じていただける一助になればと願っています。
最後になりましたが、ホームページでの公開を文字どおりご快諾いただきました先生方に深く感謝申し上げますと共に、Web技術の支援を賜りましたホームページ実行委員会の皆様に篤く御礼申し上げます。
大阪教区第21組 組長 山雄竜麿
〈今後の更新予定〉
5月1日「生きるとは……阿弥陀さまからの提案」沖野頼信氏
5月8日「死んだらどうなる? 問われる生き様」高橋法信氏
5月15日「南無阿弥陀仏で本当に救われる?」澤田秀丸氏
5月22日「南無阿弥陀仏で本当に救われる?ー救われるとはどういうことかー」澤田秀丸氏
ネットでのビデオ会議、お手伝いします
- 2020年04月08日(水)16:01
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お伝えしましたとおり、政府の緊急事態宣言にともない、大阪教務所は閉鎖、教区教化委員会の諸会議もすべて中止となりました。また政府ではテレワークなど在宅での勤務も推奨されていることです。
ホームページ委員会では、いくつかの無料で使え、簡単にできるウェブ会議システムを試用してまいりました。その特徴や注意点、参加方法などをお知らせいたします。
また、もしネット上での会議をやりたいけど、よくわからない…という大阪教区内の諸団体には、ホームページ委員会がお手伝いをさせていだきますので、ご遠慮なくお申し出ください。(連絡は大阪教務所まで)
最低限必要なもの
ウェブカメラ・マイクのあるパソコン
または
Wi-Fiにつながっているスマートフォン
パソコンのほうが画面が広いぶん、使いやすいです。ウェブカメラ・マイクは最近のノートパソコンならほとんど標準でついています。ない場合は別途用意する必要があります。スマートフォンで行う場合はちゃんと固定できるものがあったほうが便利でしょう。
zoom
・100名まで・時間制限40分(現在、コロナへの対策としてこの制限はなし)
パソコンの画面や書類を共有できたり、背景を変更できたりと、ご紹介する3つの中ではもっとも多機能。主催者がzoomのアカウントを取得して会議を設定する必要があり、参加者はそれぞれアプリをインストールしなければなりません。
LINE
・200名まで・要LINEアカウント
LINEのグループができているなら、もっとも簡単に始められます。ただし、パソコンから参加するにはパソコン用のLINEアプリが必要です。パソコンからは画面を共有することができます。
Google hangout
・10名まで
会議の主催者はグーグルアカウントが必要です。会議に参加するためにはパソコンのGoogleChromeならなにもいりません。そのほかのブラウザにはプラグイン、スマホからはアプリをインストールする必要があります。ビデオ会議をするだけで、他の機能はありません。
まとめ
それぞれ一長一短ですが、参加者が主にスマートフォンからで、すでにラインのグループがあるならラインのもので、パソコンが多くてレジュメやPDFの書類をみんなで閲覧、校正するのならzoomというところでしょうか。なにか質問があればホームページ委員会までお知らせください。
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第16回三夜連続法話の会
- 2019年12月17日(火)9:32
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本日より三日間、午後4時より「三夜連続法話の会」を開催いたします! 来年一月とあわせて正信偈依釈段を会員が順番にお話しいたします。どなたでも聴聞いただけます。みなさまお誘い合わせの上、お越しください。
なお、YouTubeでのライブ中継も予定しております。また直前にフェイスブックで告知させていただきます。
第1回北河内ブロック協議会を開催しました
- 2019年12月10日(火)10:16
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さる12月8日(日)午後5時より、古川橋「仙亭」にて、第1回大阪教区北河内ブロック協議会を開催いたしました。北河内ブロックは、第12,13,14,15の四ヶ組(鶴見区、守口市、門真市、寝屋川市、枚方市、四條畷市、大東市)で構成されています。
約三年前に新しい教区の教化体制が発足した時、教化委員会に組教化推進部ができ、各6ブロック別に担当者が置かれました。そして従来あまり機能していなかった地域ブロックでも組の垣根を越えて活動していくことが願われておりました。それを受け、われわれ北河内ブロックでも協議会を開催する運びとなったものです。
メンバーは各組の組長・組教化委員長・副組長・教区会参事会員・組教化推進部担当委員・同朋の会教導・同朋の会推進実行委員など総勢22名(うち出席は19名)で、各組の教化体制や事業の報告、今後の会の運営方法などについて話し合いをいたしました。
まずはこの北河内ブロック協議会を引き続き開いていくこと、協議会だけではなくなんらかの「寺族」を対象とした研修会も行っていきたいということ、将来ブロックの門徒さんも対象に大きな会も開催できるような方向性も確認いたしました。
また予算面なども含めてそれぞれが組に持ち帰って説明・協議をしていくこととなりました。
→詳しくは報告書(PDF)をご覧ください
はじめての試みでしたが、それぞれの組の活動内容など情報交換ができ参考になりましたし、なかなか組単独ではできないような事業を四ヶ組共同でやっていこうという機運も生まれた、前向きな協議会であったと感じております。
御堂〝開〟館WEEK 最後の二日間
- 2019年11月03日(日)10:55
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日本初の山門一体型ホテルの開業にあわせて「御堂〝開〟館WEEK おいでーや南御堂」としてさまざまな催しを行ってきましたが、いよいよそれを締めくくる本日と明日の最後の連休です。二日間は境内にてさまざまなイベントが行われます。ぜひご来場ください!
11月4日14時~16時には御堂筋ランウェイも行われます。
詳細は難波別院の特設サイト、イベントの様子はインスタグラムでもご覧いただけます!
ACT449、盛況の内に終了
- 2019年10月30日(水)9:37
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仏華展、4日までやってます!
- 2019年10月29日(火)10:13
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難波別院の報恩講は昨日で終わりましたが、ちいちの華・仏華展は、新御堂会館三階Dホール(スタバ横の入口を入ってエレベーターに乗ってください)にて、11月4日まで引き続き開催しております。
入場無料。どなたでもご覧いただけます。ぜひご来場ください!
下の写真は華展で掲示している説明文です。
本日より仏華展を開催しています
- 2019年10月25日(金)11:09
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教区テーマポスター2019
- 2019年08月09日(金)13:20
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教区ポスターの撮影を行いました
- 2019年07月15日(月)23:26
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マンガ真宗仏事研究所④【しゃらりん35号】
- 2019年07月06日(土)9:15
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おてらの未来ーてらこん?ネットワーク【しゃらりん35号】
- 2019年07月05日(金)9:08
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連区の有志坊守でお寺を男女の出会いの場に
昨年2月、近畿連区坊守研修会の座談の中で、「せっかくのお寺の後継者に伴侶が居ない」、そんな話題が持ち上がりました。そして、ご門徒さん宅でも同じような悩みをかかえておられることは、どの地域でも明らかなことでした。「お寺の未来を憂いているばかりでは始まらない! 私たちで出会いの場を提供出来たら!」そんな熱い思いで発足したのが、「てらこん?ネットワーク」です。(以下「てらこんNW」と表記)
自発的に集まった10数名の坊守と女性住職。それは、山陽、長浜、京都、四国、大阪と各教区に有志がもれなく揃う、という嬉しい偶然からスタートしました。しかし、普段から多忙な坊守たちが、互いの距離を超えて連絡を取り合うのは、数年前なら不可能だったかもしれません。この不可能を可能にしたのが、スマートフォンのアプリ「LINE」でした。私たちは、自坊の仕事の合間を利用して、LINEですべての相談と決定をしました。1日のLINEのやり取りが150通近くになることもありました。そして発足からわずか3か月後の5月に、京都・東本願寺前の東光寺さんで、お寺が男女の出会いの場、第1回の「てらこんNW」が開催されました。
寺族の若者を中心に参加者およそ20名。その後毎月開催され、大阪・天満別院さん、山陽・大圓寺さん、京都・東光寺さんを会場に、いずれも40人を超える盛況ぶりでした。日程としては、まずお寺で2時間の自己紹介とお話しタイムをもうけ、その後、レストランなどに移り懇親会です。自然と盛り上がる若い男女の熱気に、世話役の私たちでさえ、高揚感が引き出されるような不思議な感覚に陥ります。てらこんに参加したことで「自分の中の何かが変わった!」という人は多かったようです。それほど人と人との出会いはエネルギーを生み出すものなのですね。
現在、てらこんNWは8回を終え、参加者は、のべ290人を超えています。定員を超えたため参加をお断りした回もあれば、お寺に迎えたい方・入ってもよい方の人数バランスが合わずに中止にした回もあります。「今まで行った他の婚活パーティより、てらこんNWが一番楽しかった!」「坊守さんたち、とても親身にやってくれている」などの嬉しい意見も多く聞けました。とは言え、毎回、参加者を募るのに苦労をしていることも事実です。昨年11月からは、近畿連区の全教区において、チラシの全寺院発送を協力していただけました。チラシ制作費がかさむため、山陽教区からカンパ金、その後、四国教区から助成金も頂戴しました。しかし、チラシを送るだけではだめだということも学びました。今は色々な場でPR活動もしています。
最後になりましたが、今年3月に1組のカップルが結婚成立されました。他にも数組の方々が結婚前提の順調な交際を続けておられます。私たちも自分のことのように嬉しく感じています。引き続き、お寺の未来が明るくなるよう、てらこんNW世話役一同がんばっていこうと思います。
(てらこんNW世話役・上本賀代子さん)